秋がぐっと深みを増してきた今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。体調などを崩してはいませんか?季節の変わり目で天気も崩れがちな時期なので、気分が沈むことが増えた気がする、という人もいるかもしれません。そんな時は、「いちかわみんなのほけんしつ」をご利用いただくのも良いと思います。
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「捨てないを売る!」アップサイクルブランドを立ち上げる(11月12日開催)
さて、突然ではありますが、2022年11月12日(土)の13:30~16:30に、八幡小の近くにある「にわにわ」(菅野1-1-23)で、小学生向けの面白そうなワークショップが開催されるという情報をキャッチしたので、紹介します。
ワークショップの内容は、下の画像に記載されている通りで、前半と後半にわかれています。前半は、世界的な問題となっているゴミをめぐる現状と課題について学び、アップサイクルについて学び、考えます。後半は、ブランディングやデザインの力を体感し、ワークショップを通じてアップサイクルのブランドのコンセプトを考え、ロゴをつくります。
主催は、「やわたの森Kids」さん。下の画像の右側に記されている通り、子どもが「自ら学びモノコトを作り出す力」を育むプログラムを開発し、それを八幡エリアで提供しています。
やわたの森Kids 公式Facebookページ
https://www.facebook.com/groups/1978021878998154
公式Facebookページでは、「やわたの森Kids」さんは、
- 遊びの要素を大切にしたアートなどの創造的プログラムPlayful
- イノベーションの世界標準的アプローチといわれる「デザイン思考」をベースにした課題解決プログラム4D4D
を開発し、「モリノテ」(森の手)というプログラムとして、主に小学生にお届けしている、と説明されています。
また、今回の講師を務めるのは、市川市鬼越を拠点とするデザインユニット、MIKAZUKI.Design / ミカヅキデザインさんです。
フリースタイル市川、いちかわフードバンク、いちかわみんなのほけんしつ、アトリエ029、スロージャーナル、結meal、ふくろうの森マルシェ、モトグル、IchiPedia(イチペディア)、丸屋(まるやブルワリー)、ICG(市川コンサルティンググループ)など、市川市内の企業や団体などのロゴ制作、ブランディングなどを数多く担っている新進鬼鋭のデザイナーさんです。
MIKAZUKI.design 作品群
https://mikazukidesign.com/works/
最近では、「市川まちガチャ」の町名アイテムのデザイン、コンセプトメイキングも担当し、ラジオや新聞にも登場する機会が増えています。
「捨てないを売る!」アップサイクルブランドを立ち上げる
開催概要
日時 :2022年11月12日(土)13:30~16:30
場所 :にわにわ(市川市菅野1-1-23)
参加費:3,500円(教材費、会場費、講師料含む)
主催 :やわたの森Kids
申込み:公式LINEより(11月5日しめきり)
アップサイクルブランドを(実際に立ち上げるのではなく)、立ち上げる想定でワークショップを行う、というものである点にご注意ください。なお、希望する場合は、後日、自分がデザインしたロゴをいれた名刺をつくってもらえるそうです(別料金)。
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ところで、アップサイクルって何?
何の説明もなく、「アップサイクルブランド」という語が登場しましたが、「アップサイクル」とは何だかわかりますか?
冒頭の絵(筆者が紙とハサミを駆使して作ったものです)が、それを理解する手掛かりになるかもしれません。
「リサイクル」のマークに似ていますが、「リサイクル」と異なり、上の方に向かって矢印が伸びています。「リサイクル」は、ある製品を、一度、資源の状態に戻した後に、それを原材料として製品化するものを指します。ペットボトルを化学繊維、包装フォルム、食品トレイなどにするものや、牛乳パックをトイレットペーパーにするものなどがよく知られています。様々な分野でリサイクルされていますが、資源の状態に戻すためにエネルギーが必要です。リサイクルというと、「地球にやさしい」というイメージがあると思いますが、リサイクルするために環境に負荷をかけているという面は見逃せません。
さて、「アップサイクル」ですが、上図で、矢印が上の方に進んでいく、これが、「アップサイクル」の「アップ」だと理解していただいて良いと思います。
「アップサイクル」とは何か、私が拙い説明をするよりも、具体例をお示しする方が進むと思うので、有名な事例を紹介することにします。
今回、「やわたの森Kids」さんのワークショップに参加する子どもたちが、模擬的に立ち上げるのは、「アップサイクルブランド」です。代表的な「アップサイクルブランド」として挙げられることが多いのは、FREITAG(フライターグ)です。
FREITAG(フライターグ)
https://www.freitag.jp/ja?delivery_country=JP
FREITAGは、スイスのブランドで、使われなくなった自動車のチューブ、シートベルト、トラックの幌布などを用いて、デザイン性の高いバッグや小物を製造しています。
このように、日々大量に発生する廃棄物を、ゴミにしてしまうのではなく、素材に注目し、手を加える音で新たな価値を付加することで、元の製品よりも価値のあるもに変化させることを、「アップサイクル」と呼びます。
FREITAGの場合は、自動車部品の丈夫さ(耐久性や撥水性に優れている)という素材の良さに注目して、この特徴を生かした別の製品を生み出しています。素材を生かすため、処理のための環境負荷が抑えられる点でも、「アップサイクル」は注目されています。また、デザインの良さも人気を博している理由と考えられます。
ちなみに「リメイク」も「アップサイクル」と似ていますが、「アップサイクル」よりも広い概念です。「リメイク」には、「アップサイクル」と呼びうるものが含まれますが、一方で、価値が元の製品よりも下がる「ダウンサイクル」も含みます。
日本の企業の取り組みも紹介しましょう。
BEAMS COUTURE(ビームスクチュール)
https://www.beams.co.jp/beamscouture/
BEAMS(ビームス)には、倉庫に眠るオリジナル商品のデッドストック品を中心に、手仕事によるリメイク手法を用いて、新たな価値を持った1着へと甦らせるブランド、「BEAMS COUTURE(ビームス クチュール)」があります。そのままでは、売れ残りとなり、廃棄処分せざるを得ない衣料品に、新たな価値を付加しています。
古着やリボンなどを取り混ぜながら、ひとつひとつが丁寧な手作業により“アップサイクル”され、この世にたった1つだけの個性豊かな一点物のアイテムへと甦ります。
出所:BEAMS公式Webサイト(BEAMS COUTURE 紹介ページ)、https://www.beams.co.jp/beamscouture/、2022年10月31日閲覧(太字は筆者)
アパレルの場合、流行の変化が早く、旬が短いこともあり、想定していた売価で売れない場合は、値引き販売をするか、倉庫に送り返され、廃棄されるか、そのどちらかになることが多いと考えられます。店舗から見れば、セールで販売すると、値引きロス(想定していた売価で販売していたら得られたはずの利益が得られない)が発生し、廃棄処分する場合には、廃棄ロス(廃棄処分にかかる費用)が発生します。廃棄処分の場合は環境への負荷も生じます。
こうしたロスや環境負荷の発生を抑制し、アイデアと技術によって、価値ある新しい製品として生まれ変わらせるという意味でも、「アップサイクル」は優れた手法だと言えます。
ちなみに、コーヒー愛飲者の私が購入を検討しているのが、コーヒーを丸ごと味わえるカップです。
KAFFEE FORM(カフェ フォルム)
https://monoco.jp/brand/kaffee
ヌ・アント!カップの素材は、コーヒーを抽出した後の豆かすなのです!ベルリンのカフェから出された豆かすをアップサイクルした製品、KAFFEE FORM。これを購入し、コーヒーを丸ごと味わう体験をしてみたいと企てています。
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アップサイクルにも注力する「ゆずりばいちかわ」(行徳駅前)
行徳駅前の学生服・学用品リユースSHOP「ゆずりばいちかわ」さんは、その名の通り、主に「リユース」の事業を行っています。「リユース」は、製品をそのまま再利用するものです。元の使用目的と同じ場合もあれば(例:学生服のリユース)、違う場合もあります(例:飲料の空き瓶を花瓶やインテリアとして再利用)。
ゆずりばいちかわ
https://www.yuzuriba-ichikawa.com/
「ゆずりば」さんの事業は3種類です。
- 学生服リユース事業:思い出の詰まった学生服を、次に必要なお子様へ。バトンタッチのお手伝いをします。
- ランドセルリメイク事業:形を変えて、いつまでも大切な思い出とずっと一緒に。
- 園服・制服リメイク事業:お気に入りの学生服を、お好みのぬいぐるみサイズへお作りします。
(出所:ゆずりばいちかわ公式Webサイトより)
事業に「リメイク」が含まれることにお気づきでしょうか。上述の通り、「リメイク」の中でも、新たな価値を付加して生まれ変わらせることができれば、それは「アップサイクル」と呼びうるものです。
代表の石垣瑠美さん(フリースタイル市川主催『いちカイギ』の記念すべき第1回のゲストでした!さりげなく筆者も登場している、その時の様子はこちらをご覧ください)によると、「ゆずりば」さんのランドセルのアップサイクルには次のような特徴があると言います。
ランドセルアップサイクル商品は、メイドインジャパンの品質の良さに加え、シンプルで長く使えるものを目指しています。また、販売方法はオンラインではなく、直接お客様にあって販売することにこだわっているんです。ランドセルの傷を見ながら、当時の想い出を聴くなど、注文の打ち合わせ時からお客さまと一緒に作っていきます。これによって、手掛けるアップサイクル商品には「ストーリー」が加わります。
出所:IDEAS FOR GOOD、「孤立化していく地域コミュニティに挑む、ランドセルのアップサイクル『ゆずりばいちかわ』」(2021年3月6日)、https://ideasforgood.jp/2021/03/06/yuzuriba/、2022年10月31日閲覧(太字は筆者)
元は大量生産製品として生まれたランドセルですが、あるひとりの生徒さんが6年間使うことで、他にはない、唯一性が宿るのですね。アップサイクル製品から立ち上がってくる、唯一性、オンリーワンの存在感、代替不可能性に、今後、さらに注目が集まると思います。
私も「ゆずりば」さんでアップサイクル製品を購入したいと思っています。
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未来は僕等の手の中 / THE BLUE HEARTS
それでは、本日はこのへんでお別れです。最後にこの曲をお聴きください。