【コラム】市川市議会議員の政策での言及が少ないものの重要な課題とは何か?

コラム

先日、市川市議会議員が公表している政策について、個々のものではなく、総体として(つまり、誰が掲げた政策であるかを気にせず)眺め、議員たちが重要だと考えていることを整理しました。

この記事に書きましたが、各政治家が掲げている政策やビジョンが全て実現された時、市川市は、「人にやさしく、機能性と先進性を備えた“全世代共生型・次世代モデル都市”」になると考えられます。

各議員の政策は、各議員のWebサイト等をご覧いただいて確認していただくのがよいのですが、それすら面倒だと言ってはばからない人もいることでしょう。そんな正直な方には、こちらの記事に目を通すことをお勧めします。

さて、市川市議会議員の政策では、市川市(で生活する人たち、あるいは、今後生活することになる人たち)にとって重要な課題が提起され、その解決、解消が謳われています。ある人は、解決の道筋を示して。ある人は、一切根拠などを示すことなく、勢いで。

それはさておき、各議員が異口同音に「重要な課題だ」「私はそれを解決する」と言及している事象があります。議員たちが掲げている政策は、非常に幅広く、特に「子育て支援」「高齢者支援」「医療・介護」「防災」「教育」「多様性とインクルージョン」「地域福祉」など、現代的かつ重要なテーマに多く触れています。

では、「言及されていないが、市川市において取り組みが欠かせない重要テーマ」には、どのようなものがあるのでしょうか。生成AIの助けを借りて、それについて確認したところ、以下のような論点が浮かび上がりました。

市川市議会議員の政策やビジョンでは言及されていない重要なテーマ

❶ 都市インフラの老朽化と更新戦略

言及は「ガードレール」や「防犯カメラ」「無電柱化」など点在的ですが、市川市の多くの公共施設(学校、道路、水道、橋梁、下水道など)は高度経済成長期に整備されたものが多く、今後一斉に老朽化が進むと予測されます。 包括的なインフラ・マネジメント戦略の策定が不可欠です(「予防保全」「更新費の平準化」等)。

❷ 気候変動・脱炭素への対応

「太陽光発電」には少し言及がありますが、系統的なカーボンニュートラル政策(公共施設の再エネ転換、EV充電インフラ整備、ゼロカーボン宣言、ESG投資方針など)には触れられていません。

❸ 雇用・産業政策、若年層の働く場の創出

地域経済活性化として「アーティスト支援」や「フェス」「デジタル地域通貨」はありますが、地場産業の育成、中小企業支援、スタートアップ支援、リスキリングや副業推進といった構造的な雇用政策や人材政策が薄い印象です。特に若年層が市外に転出しない「働く魅力あるまちづくり」が必要です。

❹ デジタル・ガバメント(自治体DX)の戦略的推進

「ICT活用」や「AI・ビッグデータ活用」といった文脈はありますが、市役所内部の業務改革(RPA導入など)や、住民サービスのオンライン化、デジタルデバイド対策などは網羅的に触れられていません。行政の効率化と同時に、高齢者や障がい者が取り残されないDXもセットで考える必要があります。

❺ 空き家対策と住宅政策の統合

「空き家活用」「コミュニティ拠点化」には触れられていますが、住宅困窮者支援や民間賃貸住宅の質向上、多世代居住や移住者向け住宅支援など、住宅政策の全体設計が見えません。国の補助制度(住宅セーフティネット制度など)を活用した包括的な対応が求められます。

❻ 都市と農・自然の共生(農地保全・都市農業)

「三番瀬」「自然環境」は一部で触れられていますが、市川市北部の農地や市民農園、地産地消、フードロス削減(学校給食含む)など、都市農業やエコロジー視点は政策全体でやや弱いです。

❼ 外国人住民との共生施策の体系化

「外国籍住民への差別防止」は一部にありますが、多文化共生、言語支援、防災・子育て情報の多言語化、外国人児童生徒への教育支援、地域とのつながりづくりなど、外国人住民とともに暮らす市川のあり方がまだ深掘りされていません。

❽ 市川市の財政健全化と持続可能な行財政運営

大型支出(保育、医療、教育、防災)を伴う政策が並ぶ一方で、財政の持続性に対する視点(歳出の見直し、基金活用、資産の有効活用、PFI等の民間活用など)はほとんど見当たりません。政策を実行可能にするには、財源の裏付けと財政戦略の明示が不可欠です。

❾ 犯罪・暴力・性被害等の予防教育と支援体制

防犯カメラや相談室の拡充はありますが、青少年や女性に対する暴力防止教育(性教育・リプロ教育含む)や、性加害・性暴力の早期発見・支援体制など、予防的・包括的なジェンダー安全政策が求められます。

❿ 文化政策・公共アート・市民文化の支援

フェスやアーティスト支援に少し触れられますが、市民文化(合唱団、演劇、吹奏楽、図書館活動など)への支援、文化による地域づくり・都市の魅力発信があまり語られていません。

あぶり出された「重要なのに抜けている市川市の課題」10選

  1. インフラ老朽化・更新の全体戦略
  2. 脱炭素・気候変動への計画的対応
  3. 若年層の雇用・人材政策
  4. 自治体DXとデジタル包摂
  5. 空き家・住宅政策の体系化
  6. 農地・都市農業・食の循環
  7. 外国人住民との共生
  8. 財政の健全性・行財政改革
  9. 暴力・性加害の予防教育と支援
  10. 地域文化政策と公共アート

生成AIは、「こうしたテーマは、中長期の都市ビジョンや市民参加を重視する立場からも検討に値するものばかりです」と言っています。ぐ、ぐむぅ・・・。そう言われてしまうと、反論できなくなってしまいます。

市川市議会議員が意識を向けていること、そうではないこと

各議員が政策・公約として掲げ、あるいは、自身のビジョンとして示していることの多くは、市民の「当面の暮らし」と「安心・安全」に直接寄与する基本政策と言えそうです。

一方、確認できた範囲の議員の政策では言及がされていないか、ほとんど検討されていない事項には、将来展望・持続可能性・多様性対応など中長期的に不可欠なものがあります。

生成AIは、「市川市が2025年から2030年にかけて、『脱炭素』『インフラ』『デジタル化』『若い世代の雇用』『住まい』『多文化共生』の6つの分野に力を入れることで、今のままにとどまらず、これからの時代を見すえたまちづくりが期待されます」と言っていました。

6つの分野ですか。

  • 脱炭素
  • インフラ
  • デジタル化
  • 若い世代の雇用
  • 住まい
  • 多文化共生

そういえば、2025年5月18日に南行徳で、市川市のカーボンニュートラル推進課主催で行われた「アシタノイチカワVol.2」なるイヴェントでは、「脱炭素」と「住まい」が重要課題として議論されていました。市が市民とこうした問題を語る場を設けていることは、議員が力を注いでいない(注いでいるとは言いがたい、あるいは、他の政策に比して注目度や取り組み優先順位が低い)現状、とても大きな意味があると言えましょう。

参考記事:いちかわCNネットワーク「アシタノイチカワ vol.2 開催しました」(公開:2025年5月22日、更新:2025年6月19日、閲覧:2025年6月19日)https://ichikawa-cnn.jp/ashitanoicihkawa_250518/

議員の政策が短期的なものに偏る4つの理由

市川市議会議員の政策・公約は、短期的な視点、短期で成果の出るものに偏重していると言えそうですが、こうした傾向は、市川市に限らず、日本全国の多くの自治体議会・都道府県議会・国会議員、首長の公約や政策でも観察されますよね。

なぜ短期的な政策に偏るのでしょうか?考えられる理由を4つ挙げてみましょう(supported by 生成AI)。

  1. 有権者の可視性と評価軸
    選挙は任期(4年など)の中で成果が見えるかが問われる。
    有権者に「成果が分かりやすい」「自分に関係がある」と思わせる施策(例:防犯カメラ、子育て支援)に偏りやすい。
    一方、脱炭素・財政健全化・教育制度改革などは成果が出るのに10年単位かかり、有権者の関心が低くなりがち。
  2. メディアやSNSにおける反応性の高さ
    SNSや地域メディアで話題になりやすい「身近な話題」や「目に見える変化」に政治家は敏感。
    政策アピールは“速攻性”が重視される。
  3. 自治体の行政執行体制の硬直性
    中長期的なビジョンには庁内調整・法制度・財源が複雑に絡む。
    一議員が主導しにくく、議員個人の公約としては形にしづらい。
  4. 専門的知見やサポート不足
    脱炭素、ジェンダー、多文化共生、都市政策などは専門性が高く、議員自身の知識やリソースが不足しがち。
    結果として、現状維持や住民ニーズへの「即応的対応」が中心になる。

ということですが、冒頭に挙げた「選挙は任期(4年など)の中で成果が見えるかが問われる」ということは見逃せません。

つまり、短期的な目標、短期的に成果が出そうなことばかりを掲げる政治家(候補者)は、決して長期的な視点を蔑ろにしているわけではなく、むしろ自身の任期内に政策に掲げたことをを、何としてでも成し遂げるという確固たる、断固たる意志を有している人である、とも言えるわけですね。

さて、ここまで離脱、脱落せず、読んでくださった読者の皆さんは、改めて市川市議会議員の政策が気になってきましたよね?

ぜひ、こちらの記事「【コラム】市川市議会議員の政策を見てみる」を読んでみてください。

それでは、また、お目にかかりましょう。フリースタイル市川のノスタルジー鈴木でした。

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執筆日 2025年6月19日
公開日 2025年6月19日
執筆者 ノスタルジー鈴木(特定非営利活動法人フリースタイル市川、ノスタルジー&ルミエールなど)