【戦後80年】紙芝居で考える戦争と平和(2025年5月24日)

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今年、2025年は、終戦から80年という節目の年です。戦争が終わった昭和20年から80年の今年は、昭和でいえば100年でもあります。

本稿を書いているフリースタイル市川の鈴木は昭和後期の生まれですし、母でさえ戦後の生まれです。父は戦中に生まれました。父の幼い頃の記憶に、部屋で寝ていて目覚めると、家が燃えていたというものがあったといいます。

おそらく本稿を読んでいる方のほとんどは、戦後の生まれでしょう。しかし、実際に戦争を体験していなくても、その、おぞましさ、ひどさを、ご存知かと思います。

今も、世界では戦争――と呼べるようなものもあれば、そう呼ぶことが欺瞞的に思えるようなジェノサイドなどが、現実に起きており、私やあなたはそれらをひどい事態だと思いながら、日本で平和を享受していることでしょう。

戦後80年となる今年、5月24日の14時より、JR市川駅の南口に出て左側(本八幡方向)に進んだ方のビルの3階にある「I-linkルーム(アイリンクルーム)」で、『紙芝居で考える戦争と平和』と題された集いが行われます。

紙芝居を通じて、戦争と平和について考え、障がいを考え、自分あり方について考える、そんな企画です。つまり、「この企画は何だか気になるな」と思った人だけでなく、「私にはあまり関係ないかな」と、今、思った人にも、関係のある内容なのです。

当日、紙芝居を演じるのは、「第28回 いちカイギ~OLD is NEW~」(2024年1月27日)に登壇していただいた平井隆史さん、そして、一般社団法人アニマシオントイの代表を務める渡辺美佐子さんの二人です。

演目は、『いくさの少年期』『あんずの花につつまれて』です。

『いくさの少年期』は、田中幹夫さんの自伝的小説を原作とする紙芝居です。子ども時代の戦争体験が描かれています。田中幹夫さんは、福井空襲と福井地震を体験し、2003年に、障害者虐待の「サン・グループ事件」で勝訴判決を勝ち取った弁護士で、障害者保護の先駆となった方です。日本子ども虐待防止学会名誉会員でもあります。

『あんずの花につつまれて』は、日本で最初にできた肢体不自由児のための学校、光明国民学校の「学童疎開」の話で、光明学校の元教員、渡辺美佐子さんが語ります。

学童疎開は、1944年(昭和19年)6月に閣議決定され、都会の子どもたち(約45万人)が、地方に移されました。住居が密集しており、人口が多い都会は、戦争の相手国の攻撃の対象となりやすため、密で閉じた状況を、疎にして開く、というイメージですね。ちなみに、疎開には、学童疎開(学童集団疎開)の他に、建物疎開(建物強制疎開)というものもあります。市川市でも、当時栄えていた国府台で行われたということです。

学童疎開は、将来の戦力となる学童を生き延びさせるという意味合いもありました(子どもたちは親と離れて過ごさねばならず、悲しく辛い日々を送った人も多かったといいます)。光明国民学校の生徒たちは肢体不自由であり、戦力外と見なされてしまい、行政は疎開先を探してくれなかったそうです。そのあたりの話は、『あんずの花につつまれて』の中で語られますので、是非、聞きにいらしてください。

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紙芝居で考える戦争と平和

・日時:2025年5月24日(土)14時00分~15時30分(開場は13時50分)
・会場:Iアイlinkリンクルーム
・申し込み:市川駅南口図書館の窓口まで

※I-linkルームへのアクセスはこのページで詳しく説明されている通り、市川駅南口を出たら左に進んでください。
※市川駅南口図書館は、市川駅南口を出たら右に進んだタワーの3階にあります。
※参加条件は中学生以上です。

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実は私、鈴木雄高は、このイヴェントで司会進行を仰せつかっているのですが、企画のアイデアも出させていただいており、それも少し反映されて、戦争と市川市を関連付けた話が内容に加わることになりました。戦争体験の報告も予定されています。参加者にも、紙芝居や話を聞くことはもちろん、戦争と平和について意見を述べる場を設けています。

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参考:学童疎開について
https://www.nhk.or.jp/sendai/lreport/article/001/03/

参考:建物疎開について
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/saigai/contents/05_150.html

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フリースタイル市川のウェブサイトでは、たまに戦争と平和に関するコラムを公開しています。

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この機会に、少しだけ前に日本で起きた出来事を、子どもたちが体験したことについて、紙芝居を見て聞いて、学び、戦争と平和について考えてみませんか。そして、現在進行形の戦争や虐殺について、昨日よりも強い関心を寄せませんか。誰かを見捨てないために。誰かを傷つけないために。

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執筆日:2025年5月10日
公開日:2025年5月10日
執筆者:鈴木雄高(特定非営利活動法人フリースタイル市川)