2024年1月20日(土)の夜にNHK総合テレビで放送された「NHKスペシャル」という番組を見ました。普段、ほとんどテレビ番組を見ない私(鈴木雄高)が、わざわざ録画をして視聴したのは、この日のテーマが「まちづくり」だったからです。
市川市には市川市のまちづくりがあります。他の自治体でうまくいっている取り組みが、あまり参考にならないということもあるでしょう。しかし、参考になるか、ならないかを考えるのは、なんだか、情報でも人でも「使える/使えない」で判別するようことに似て、ちょっと品がないですし、余裕が感じられないですよね。
というわけで、若かりし頃に大学と大学院で都市計画を学んだ経験を有しているがゆえ、もともと(市川市だとか、何とか市だとかに関係なく)「まちづくり」全般に並々ならぬ興味を抱いているのを良いことに、番組を食い入るように見て、見ながらメモをとりまくり、それをここでぶちまけようと思います。
表題に「Part1」とありますが、本稿は前編で、数日後に後編に当たる「Part2」を公開する予定です。
ちなみに、本稿は番組内容をひたすた箇条書きでつらつらと綴るだけなので、読み進めてもたぶん退屈するはずです。退屈を嫌うあなたには、一部の人に(だけ)人気があると言われる、(市川市を代表する)ポッドキャスト番組(と言わざるを得ないのが現状)、『!ka !ch!kawa(イカ市川)』をリッスンすることをおすすめします。
東京・秋葉原の再開発
- 秋葉原の個性となっている個人店、雑居ビルが織り成す混沌。
- その秋葉原で再開発計画。
- 再開発ビルは高さ170m級。
参考:冒頭の画像は、当番組で秋葉原に170mのビルが建設される計画があるという話題を伝えていた場面の画面キャプチャを引用、加工したものです。
東京・湾岸エリアのオフィスビル
- 2000年代初頭、東京の湾岸エリアで、国際的なIT拠点となることを目指して行われた再開発。
- それを象徴する44階建てオフィスビルは5年前までほぼ全フロア埋まっていた。今は空室が増えている。選ばれるためにリニューアル検討中。
- オフィスビル空室率は東京湾岸エリアで高く、供給過剰(目安の5%を大きく上回る)。
- オフィスビルの空室率:浜松町・高輪 13.1%、北品川・東品川 11.91%、東日本橋・新川(晴海含む)10.54%。
- コロナ禍を経てリモートワークも普及。
- 世界的にオフィス供給過剰。
- そんな中、人口減少の日本で高層ビル建設が続くことにリスクあり。
鈴木雄高のコメント:
昨今、空き家問題が取り沙汰されていますが、ビルの空き部屋も増加するのでは?
福岡市の再開発「天神ビッグバン」
- 福岡市では天神ビッグバンという再開発が進行中。
- 再開発ビル建設が続く。今後半径500m圏内にビル100棟が建つとか。
- 国家戦略特別区域により高さ制限が緩和され、高層ビル建設が可能。
- 福岡市はアジアで確固たる地位を築くことを目指してる。
福井市の再開発
- 1980年代は福井市の中心市街地は賑わっていた。
- 事業者の代替わりがうまくいかず賑わい喪失。
- シャッター商店街の映像も流れる。
- 中心市街地の活性化のため、A街区、B街区に分けて、再開発を計画。
- B街区は、一昨年の世界的な建設費高騰を受け、計画を見直した。
- A街区は、既に工事が進んでいたため計画の見直しが難しく、事業費がアップ。
鈴木雄高メモ:
本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業(JR本八幡駅と国道14号に面した八幡2丁目の一部で、地元地権者を中心とした準備組合が行う組合施行の第一種市街地再開発事業)では、160m級の高層ビルを含む、ビル2棟が建設される計画があります。オフィスビルではなくマンションの予定ですが、建設資材の価格が想定よりも高い場合、計画の見直しがあるかもしれません。福井市のB街区のように。
全国各地の再開発の状況
- 世界的に資材価格が高騰していることもあり、各地の再開発は国の補助金依存度が高まっている。
- 国の制度をつかって、高層化による再開発を進めている地区は171。
市街地再開発事業は時代に合っていないのでは?
- 市街地再開発事業は1969 年に制定された都市再開発法に基づく都市計画事業。
- 人口が増え、オフィス需要も増えていた高度経済成長期につくられたもの。
- 当時と現在では社会的な状況が異なる。
神戸市のまちづくり
- 神戸市は都市間の人口の奪い合いに未来はないとの考えをベースにまちづくりをしている。
- 三宮の駅前タワーマンションに規制を設けた。
- 神戸市は人口集中による防災上のリスクを懸念、郊外人口減少も懸念。
- 人口減少を前提としたまちづくりを実践。
- 神戸市では面で捉えた都市計画を実施。
- 子育て世代向けに市立図書館を百貨店につくったりと、郊外を蘇らせようとしている。リノベーション。
- 郊外を暮らしやすくしている神戸市。
- 4年前、郊外に延びる民間の鉄道を市が買い取って低運賃化。
- 去年、22年ぶりに人口が150万人を下回った神戸市では、人口減少に対応したまちづくりを進めている。目先の人口増加は目指さない。
鈴木雄高のコメント:
神戸市を市川市を比べると、人口は約3倍、面積は、ヌ・アント!約10倍!とにかく広いので、三宮エリアにばかり人口が集中することを良しとはせず、郊外エリアも居住地として選ばれやすいようにしているのだと思います。
※面積は、神戸市が557km2、市川市が57km2。人口は、神戸市が149万9887人、市川市が49万7394人。いずれも2024年1月1日時点。出所:https://uub.jp/rnk/c_j.html
スタジオの有識者のコメント
平田オリザ氏(劇作家、演出家など)
- 再開発の際に地元の伝統や文化を残していくことも必要。
- 神戸市には、阪神淡路大震災後にコミュニティの強い地域では復興が進んだという経験がある。
- 神戸市で、震災後に機械的に人を仮設住宅に割り当てた地域ではコミュニティが寸断されて孤独死も多かったとのこと。
- 経済が発展しても社会が壊れては意味がない(社会のための経済である)
野澤千絵教授(都市政策・住宅政策など/明治大学)
- 民間主導で再開発が行われる場合、儲かるところばかりにプロジェクトが集中する。
- 周辺都市から開発需要や人口を奪うことにもなる。
- 地域間のバランスも重要。
- 時間的にも短期集中になりがち。
- まちづくりは行政とデベロッパーだけでブラックボックスの中で決めて進めるのではなく、早期から、住民や専門家が入って、検討をすすめることが必要。
- 床需要は高まらないので、高度利用から減築利用への転換が必要。
- ビルをつくり続けることは本当に良いのか。
- 人口減少時代だから都市部を伸ばす、だけでなく地方も大事であり、国土全体を見る視点が必要。
鈴木雄高コメント:
総武線沿線を眺めてみると、既出の市川市・本八幡をはじめ、船橋、津田沼、小岩、新小岩の駅前に、タワーマンションの建設計画があります。これらの駅前エリア同士で、人口の奪い合いが生じそうです。あるいは、総武線沿線のこれらの駅前マンションがいずれも人気を博し、遠方からの人口流入をもたらす可能性もあります。「自分たちだけ良ければよい」とは言わないけれど、でも、自治体としては人口が増えれば税収が増え、それをもとに、住民に対して、より質の高いサーヴィスを提供できる、ということを考えるでしょうから、「自分のところはできることをやる、最善を尽くす」ということで、人口を増やすのに手っ取り早い、大規模集合住宅、すなわちタワーマンション(a.k.a.タワマン)の建設に活路を見出すのは、想定の範囲内ですね。野澤教授の言うような、地域間バランスをとって、部分最適ばかりを目指さない開発は、どうやって行うのでしょうか。教えて!野澤先生!
・・・次稿(Part2)につづく!
* * * * *
執筆日 2024年1月22日、23日
公開日 2024年1月23日