2022年8月23日以来となる、通算7回目の「市川ちょっと話」です。
「市川ちょっと話」は、市川市にまつわる「ちょっとした話」を「ちょっとだけ」する、コラムのシリーズです。
今日の記事には、「本行徳にかつての県庁所在地が」という題がついていますが、語尾に「!」や「?」を添えるべきだったかな、と「ちょっとだけ」後悔しています(少しのリグレット※1)。
と、余計なことを書いてしまったことについても、書いた直後の今、「ちょっとだけ」後悔しています(少しのリグレット)。
BTW※2、かつて市川市の本行徳(最寄りの鉄道駅は東京メトロ東西線の妙典駅)には、県庁があったことをご存知でしょうか?本行徳は、かつての県庁所在地と言えるのです。
この「ちょっとした話」を、大河、運河、水路に堀まで、川をこよなく愛し、船から見る生活臭溢れた流域景観に目がない、行徳在住の紳士(水運ネットウォークの行徳本部代表)にしたところ、ご存知ではありませんでした※3。
水運ネットウォーク/行徳本部 公式Twitter
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ここからが本題です。
――かつて、本行徳の「徳願寺」に、県庁が置かれていました。
千葉県の県庁が?
――いいえ、違います。印旛県の県庁が、です。
印旛県?
――はい、印旛県です。
・・・・ということなのですが、ここで少しだけ歴史を確認してみましょう。
1871年(明治4年)、明治政府が廃藩置県を行いました。藩を廃し、県を置いたわけですね。ただし、当初は300を超える県が存在し、行政に支障をきたすということで、旧暦11月14日(グレゴリオ暦、つまり新暦12月25日)に府県統合が行われました。この時に誕生したのが、印旛県です。
印旛県の県庁は、旧佐倉藩の城下町、印旛郡佐倉に決定し、印旛県の県名は佐倉のある印旛郡から取られました。しかし、佐倉には庁舎にふさわしい建物がなかったため、東京府の薬研堀(現在の東日本橋)の旧下総知県事仮事務所(薬研堀御役所)に臨時事務所を置き、その後、県庁を葛飾郡本行徳村字寺町の徳願寺境内(現在の本行徳5番22号)に移転しました。
これが、印旛県の県庁が徳願寺に置かれた経緯です。
しかし、交通が不便との理由で、1872年(明治5年)旧暦1月に葛飾郡加村字坂之台(現在の流山市加一丁目、流山市立博物館付近)の旧葛飾県庁に移転しました。
※情報出所:Wikipedia「印旛県」
つまり、徳願寺の境内に印旛県の県庁が置かれたのは事実ですが、約2か月で現在の流山市の加へと移転してしまった、というわけです。
なお、印旛県の歴史も長くは続かず、1873年(明治6年)6月15日には木更津県と合併して印旛県は消滅し、千葉県が成立しています。その2年後、1875年(明治8年)の5月7日に、 第2次府県統合があり、新治県が利根川を境に分割され、利根川以北が茨城県に編入、利根川以南は千葉県に編入されました。
徳願寺には、江戸深川の永代橋墜落による溺死者の供養塔、宮本武蔵供養のための石地蔵がある他、宮本武蔵によるものと伝えられる書画や、円山応挙によるものと伝えられる幽霊の絵などの寺宝があります。寺宝は、毎年1回行われる「お十夜会」で一般公開され、2022年のお十夜会は、11月16日に開かれるとのこと(情報出所:まるごとe!ちば、https://maruchiba.jp/sys/data/index/page/id/18542/、2022年11月10日閲覧)。この機会に、徳願寺に足を運んでみてはいかがでしょうか。そして、かつて超短期間ではあったものの、印旛県の県庁が置かれていたのだ、という事実を噛みしめてみてはいかがでしょうか。
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〈注釈〉
※1:「少しのリグレット」は、 My Little Lover の名曲「Hello,Again~昔からある場所~」のリリックの一節からの引用です。
雨はこの街に降り注ぐ
少しのリグレットと罪を包み込んで
出所:My Little Lover「Hello,Again~昔からある場所~」、作詞:小林武史
※2:BTWは、”By the way,”の略で、「ところで、」を意味します。ちなみに、BTSは、RM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKの7名からなる、韓国のグループです。なお、BMWは、”Bayerische Motoren Werke AG”のことで、〈ドイツのバイエルン州ミュンヘンを拠点とする自動車および自動二輪車、エンジンメーカー〉(Wikipediaより)。BMWは、英語読みでは、「ビー・エム・ダブリュー」となりますが、ドイツ語読みでは、「ベー・エム・ヴェー」となります。
※3:この話(本行徳の徳願寺に、かつて印旛県の県庁が置かれていたという話)を、私が水運ネットウォーク行徳本部代表の紳士にしたのは、今から約5か月前の2022年6月13日のことでした。