公開日 2022年12月24日
市川市の人口をご存知ですか?
次のうち、正しいものはどれでしょうか。
- 約100万人
- 約65万人
- 約50万人
正解は…
↓
↓
↓
↓
この3つの選択肢の中で、正解は、3番です。市川市の人口は、約50万人です。
というわけで、今日は、まず、市川市の人口について見ていくことにしましょう。
* * * * *
市川市と松戸市の人口はほぼ同じ
現在の千葉県の自治体を人口が多い順に4つ並べると、
- 千葉市 978,756 人
- 船橋市 645,857 人
- 市川市 496,922 人
- 松戸市 496,884 人
となります。
情報出所:千葉県公式Webサイト、「市区町村別人口と世帯(最新)」(令和4年11月1日現在)、https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/joujuu/geppou/saishin/setai.html、2022年12月24日閲覧
冒頭のクイズの選択肢だった、約100万人というのは千葉市の人口で、約65万人は船橋の人口、そして、約50万人というのは、市川市と松戸市の人口です。
ちなみに、この人口は、国勢調査の結果の人口を基に毎月の人口動態を反映させたもので、住民基本台帳を基にした人口とは異なります。ご注意ください。
さて、改めて市川市の人口を確認すると、496,922人で、松戸市の496,884人を少し上回っていますね。その差はわずか38人です。
それにしても、「市川市と松戸市、隣接する2つの自治体の人口が、ほとんど同じ」という事実には驚かされます。この件について、色々と綴りたいのですが、それは別の稿に譲るとしましょう。
市川市の出生数と出生率の推移
次に、市川市の出生数の推移を見ることにします。
21世紀に入ってからの20年間、出生数は減少傾向にあり、2021年は4,000人を下回りました。
2018年 4,348 人
2019年 4,088 人
2020年 4,065 人
2021年 3,763 人
出生数が4,000人未満だったのは、1966年の3,995人以来、55年ぶりのことでした。
2021年の出生数の少なさは、コロナ禍が影響している可能性があります。とはいえ、グラフを見てお分かりの通り、コロナ禍の前、2019年までの推移も、右肩下がりでした。
この記事、「【コラム】人口と世帯からみる市川市の姿」で確認した通り、市川市の人口は2020年までは増加していました。2021年は前年よりも下回る月が多く、これまでの人口増加基調にストップがかかったわけですが、コロナ禍であることを考えると、人口減少は一過性のものかもしれません。
話がぶれてしまいましたが、こういうことが言えます。
- 市川市の人口は、これまで概ね増加傾向にあった
- その一方で、市川市の出生数は減少傾向にあった
市川市の人口増加は、出生数によるものではなく、市外からの人口流入(引っ越してくる人が多いこと)によるものなのですね。
一般に自治体としては人口の増加は喜ばしいことだと言えます。税収が増え、消費市場の規模も大きくなるからです。人口が増え、市場規模が大きくなると、この地域で事業を行おうと考える企業(特にB to C と呼ばれる一般消費者向けの事業を行う企業)も増えるでしょう。人口の増加は、このように、地域経済の活性化につながります。
しかし、出生数が長期に渡って減り続けているということは、無視してよいことではありません。子どもを産み、育てたいとは思えない人が多いのかもしれません。
続いて、合計特殊出生率の推移を見てみましょう。
2015年以降、2018年のみ前年を上回りましたが、この年を除き、毎年、前年よりも低くなっています。
2021年の合計特殊出生率を、市川市と、千葉市、船橋市、松戸市、浦安市、そして、千葉県内でも人口の増加率が高い流山市で比較してみます。また、比較用に、全国および千葉県のデータも掲載します。合計特殊出生率が高い順に並べ、グラフにすると、下のようになります。
市川市の合計特殊出生率は、船橋市、松戸市とほぼ同じですね(船橋市が1.18、市川市が1.17、松戸市が1.16)。3市とも、全国および千葉県を下回っています。
細かく見ることはしませんが、浦安市の低さは異次元ですね。流山市の高さも異次元です。
千葉県の中でも東京都に近い東葛地域の自治体は、いずれも出生率が低いです。東京都内への出やすさという交通利便性の高さゆえ、転入人口(流入人口)が多く、人口が増加する時代が長く続いてきたものと思われますが、流山市のように、「ここに住んで、子をつくり、育てよう」と思えるようなまちづくりはできていないですね。
子供を産むこと、育てることに対し、前向きになれない理由は様々で、中には「お金がかかる」ことが大きな障壁になっているケースもあるでしょう。それ以外に、出産、育児が大変そうだ、ということを見聞きし、消極的にならざるをえない、ということもありそうです。
市川市では、しかし、この状況を手をこまねいて何も対策を打っていないわけではありません。こんなこともしているのです。
市川市の産後ケア事業について
市川市では、先月(2022年11月)から、「訪問型」の産後ケア事業を始めました。これは、産後ケアを自宅で受けられるものです(助産師さんが利用者の自宅を訪問します)。
これまで、「宿泊型」と「デイサービス型(日帰り型)」の産後ケアがありましたが、〈子供が複数いるなど外出しづらい母親もいることから、訪問型の産後ケア事業も始めることにした〉そうです(出所:市川よみうり&浦安よみうりonline、「市川市の産後ケア事業 先月から訪問型スタート」、http://www.ichiyomi.co.jp/top/2022_1202.html、2022年12月24日閲覧)。
利用方法や利用条件、費用や利用期間などは、市川市公式Webサイトをご覧ください。
市川市公式Webサイト「産後ケア事業」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/pub03/1111000368.html
出産後、家族から十分なサポートが受けられず、育児の不安があり支援を必要とする方へ、安心して子育てができるよう産後ケア事業を実施しています。
出所:市川市公式Webサイト、「産後ケア事業『令和4年11月より訪問型を開始しました!』」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pub03/1111000368.html、2022年12月24日閲覧
出産後のお母さんの心と体は、ホルモンの影響から緊張状態にあり疲労しています。
また産後の体調やあかちゃんの授乳、お世話に疲れや不安を感じる方も少なくありません。
産後ケアは、上述の通り、3種類あります。
※ここから、市川市公式Webサイト「産後ケア事業『令和4年11月より訪問型を開始しました!』」の内容を引用します。
1.宿泊型
産後ケア施設に宿泊し、出産後のお母さんの体調とご希望に合わせ、助産師等による乳房ケアや授乳・沐浴指導、育児相談などの産後ケアを実施します。ケアを受けながらゆっくりと体を休めることで、ご家庭でも安心して育児ができるようサポートします。(入院中は食事がつきます)
2.デイサービス型(日帰り型)
日中、産後ケア施設を利用して助産師等による乳房ケアや授乳指導、育児相談などご希望に合わせた産後ケアを実施することで、育児不安や負担を軽減できるようサポートします。(昼食がつきます)
3.訪問型
助産師がご自宅に訪問し、乳房ケアや授乳指導、育児相談などご希望に合わせた産後ケアを実施することで、育児不安や負担を軽減できるようサポートします。(食事はつきません)
産後ケア利用中は、お母さんとあかちゃんの体調に合わせて、以下のケアを受けることができます。
お母さんのケア
- 母体の休息
- 食事の提供(「宿泊型」と「デイサービス型」のみ)
- 健康状態の確認
- 乳房ケアや心身のケア
- 授乳指導、沐浴指導などの育児の指導や相談
あかちゃんのケア
- 健康状態や発育・栄養の確認
※ここまで、市川市公式Webサイト「産後ケア事業『令和4年11月より訪問型を開始しました!』」の内容を引用しました。
出産後の産後ケアの必要性については、様々な文献や記事などで言及されていると思いますが、ここでは日本産後ケア協会のWebサイトに掲載されていた研究知見を紹介します。
大阪府「地域母子保健サービスに関する研究~新しい乳幼児保健活動の標準方式の策定のための研究~」(平成15年)で、「今までに育児について一番心配だった時期」(子どもの出産後から3歳まで)を振り返って回答してもらった結果、出産して病院を退院してから1ヶ月までが一番心配で、一番手助けがほしい時期であることがわかりました。
出所:一般社団法人日本産後ケア協会、「ニッポンの産後ケア」、https://sango-care.jp/pickup/、2022年12月24日閲覧(太字は筆者)
出産後に活用できそうな情報が市川市公式Webサイトに掲載されているので、必要かも、と思う方は参考にしてはどうでしょうか。
市川市公式Webサイト 「育児サポート」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/catpage/cat_00000608.html
市川市では、この「育児サポート」のひとつとして、出産後に家事や育児の支援が必要な人に対してホームヘルパーを派遣する「産後家庭ホームヘルプサービス」を提供しています。対象者は市川市に居住し、出産後、家事や育児の支援が必要なお母さん又はお父さんと赤ちゃんです。
市川市公式Webサイト 「産後家庭ホームヘルプサービス」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/chi01/1111000060.html
支援内容(例)は以下の通りです。
- 授乳
- オムツの交換
- 入浴の介助
- 兄および姉の世話
- 食事の準備および片付け
- 衣類等の洗濯
- 居室等の清掃
- 生活必需品の購入
産後の大変な状況を、市川市が提供しているサービスを上手に使うことで、負担を軽減しうる、という選択肢があることを、多くの市民に知ってほしいと思います。
市川市で活動する「助産宿」
ここまで、市川市が提供しているサービスについて簡単に説明しましたが、続いて、市川市を中心に活動する「助産宿」というグループを紹介します。
助産宿は、「産前学級」や「産後教室」、「オンラインお話会」を通して、お母さんと子ども、その家族の価値観や、生き方・暮らし方を尊重し、自分らしく選択できる/納得できるケアとサポートをめざして活動しているグループです。
「助産の支援」を掲げてみんなが主役になれる地域を作ります!
私たち、助産宿は「誰もが安心して産み育てやすいつながりと場を提供したい」と2020年7月に始動しました。
助産師、産後ドゥーラ、看護師、理学療法士、管理栄養士、保育士が集い、さまざまな専門職が多面的かつ包括的な支援をめざしています。
「助産の支援」は助産師さんがママパパ、子どもたちを支援するように、以下の支援をお約束します。
1.個別的――お産はプライベートな体験です。個々の価値観や家族の在り方を尊重します。
出所:助産宿公式Webサイト、https://www.josanjuku.com/%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6、2022年12月24日
2.生理的――人本来の生きる・産む・生まれる力を尊重します。
3.継続的――妊娠前・産前から産後の子育てまで相談できます。
助産宿のメンバー、佐藤鼓子さんは、『第12回いちカイギ~いちカイギに”11.19″会いに行こう』のゲスト・スピーカーでした。その時のダイジェスト動画をYouTubeで視聴することができます。
佐藤鼓子さんが「いちカイギ」で発表した内容にもありましたが、「多様性(を認める)」とは、人間が他者を尊重することであり、裏を返せば、自分自身のことを尊重することでもある、という下りには、ハッとさせられました。
「助産宿」の活動は、「みんなが自他を尊重する」ということがベースになっているようです。
大人が、安心して子どもを産み、育てることができる、そして、親になっていく過程で、自己を受容していくこと、子を尊重すること――自然とそのような思考が身に付けば、出産や育児という緊張が続く局面においても、(良い意味で)少しは楽(な気分)になれるような気がします。
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今これを読んでいる誰もが母から産まれた経験を持ちます。また、何割かの人は子を産んだ、または、育てた経験があります。これから産みたい、育てたいという思いを持つ人もいるでしょう。ただし、それが(産み、育てるということをする場所が)市川市であるか、他の地域なのかはわかりません。
市川市には、ここで紹介したように、出産の前後で受けられるサポートがあります。今日本稿を読んで初めて存在を認識した市の事業や市内のグループがあったかもしれません。気になるものがあれば気軽に問い合わせをしたり、調べてみることをお勧めします。
2022年のクリスマスイヴも終わりに近づいてきました。日付が変わる前に、この記事をアップロードしようと思います。良い夜を!