公開日 2023年3月29日
日々、全国各地の「まちづくり」の事例を調べているのですが、先日、足利市で行われている取り組みを知り、強烈なインパクトを受けました。インパクトが大きかっただけでなく、市川市でもやりたい、やるべきだ、もう誰かやっているかもしれない(だとしたら参加したい)とも思いました。
記事を2つ紹介します。
まずは、「裏足利魔界紀行」というガイドマップをつくり、配布しているというものです。
非業の死を遂げた人を神格化してまつることで、災いを抑え、平安を祈る「御霊信仰」など歴史の裏面を探り、足利市内に残る平将門や足利忠綱ら悲運の人々ゆかりのスポットなどを紹介するガイドマップが完成した。名付けて「裏足利魔界紀行」。監修した同市月谷町の民俗研究家、中島太郎さん(59)は「あまり語られない影の歴史に光を当てた。足利の歴史のミステリーを読み解き、その場に足を運ぶきっかけになれば」と話している。
出所:毎日新聞 地方版、「少し怖い?足利、影の歴史 まちおこし団体、「魔界マップ」1万部作成 非業の死遂げた英雄ゆかりの地 /栃木」(2023年3月28日)、
地域https://mainichi.jp/articles/20230327/ddl/k09/040/065000c、2023年3月28日閲覧、太字は筆者
市川市で配布されているユニークな地図と言えば、DEPOT COMMUNITY SERVICES が放つ、通称「NEW LOCAL MAP」(ICHIKAWA MAP、JUNCTION MAP、NO BORDER MAP)を思い出します。
DEPOT COMMUNITY SERVICES
https://www.positivelocalcommunity.com/depot-community-services
この地図を手に、掲載されている気になるお店を巡るのは楽しいですよね!
一方、「裏足利魔界紀行」の地図をもって、いわくつきの地を訪ねて歩く足利散歩は、ドキドキすることでしょう。
さて、改めて上の記事をご覧ください。平将門の名があります。足利市にも将門伝説が残っているのですね。ここ市川市でも、大野の地には将門伝説が色濃く残っています。「MASAKADO MAP」なるものをつくるのも面白そうです。
第五中学校のグランドをはさんだ北側の高台に建つ天満宮は、関東の覇者として君臨した平将門が、天慶元年(938)京都の天満宮(北野神社)を、この地に勧請したものであると伝えています。それは、菅原道真公の像を描いた掛軸に「抑天満宮者 人王六十一代 朱雀天皇御宇 天慶元年 平親王将門公 皇都天満宮 下総大野ニ移ス」とその由来を記したものが残されています。こうしたことから、この大野の地域には城山(第五中学校のある台地)を中心に平将門伝説が古くから伝えられ、また信仰されてきたのです。現在、市川市域に残る「将門伝説」には、市域の北東部、即ち、この大野の将門崇拝伝説に対して、中部以南では菅野の不動院・御代院・八幡不知森などに、将門調伏伝説が伝えられています。
出所:市川市公式Webサイト、「大町・大野町界隈」(2021年5月28日更新)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1411000003.html、黒・青・赤太字は筆者による強調
続いて、上の記事にも登場した中島太郎さんがコメントしている、こちらの記事を紹介します。
栃木県足利市の利性院閻魔(えんま)堂と築百年超の古民家を会場に三月四日、講話会「裏・足利魔界紀行ダークナイト」が開かれる。まちに伝わる魔界に光を当てて地域の魅力を掘り起こす初めての企画。「伝説ハンター」を名乗り、語り部を務める郷土民俗研究家、中島太郎さん(59)は「山河に囲まれ、四神(しじん)相応にかなった足利の吉地は魔界でもある。長い歴史が生み出した恐れと怪異の封印を解く」とおどろおどろしく語っている。
主催は、中島さんが所属する民間のまちおこし団体「緑がおいしい北の郷探偵団」。地元文化人や研究者でつくるNPO法人「足利歴史まちづくりの会」が協力している。
京都の百鬼夜行妖怪行列など歴史のある地域ではダークサイドに光を当てたイベントが人気を集めている。中島さんは「歴史あるまちには闇の部分も深く広がっている。多くの人を引きつける魅力がある」と企画意図を語る。
出所:東京新聞公式Webサイト、「歴史のまちで魔界探訪 『地獄絵図』開帳 閻魔大王の講話 『ダークナイト』参加者募集」(2023年2月22日)、https://www.tokyo-np.co.jp/article/232545、2023年3月28日閲覧、太字は筆者
ガイドマップの名「裏足利魔界紀行」に、「ダークナイト」を付けた名称のイヴェントです。文化人、研究者が参加するNPO法人も協力しているとのこと。市川市でこのようなイヴェントを実施する場合には、市内の大学や高校などの先生や、文学者などの協力があると心強いですね。
ところで、この記事には「京都の百鬼夜行妖怪行列」という言葉が。百鬼夜行イヴェントは市川市でも行われていることをご存知ですか?
市川市に残るミステリー、悲劇の歴史、闇に覆われた伝説は、少なくありません。真間の手児奈、涙石、藪知らず、鬼越の鬼・・・・
また、詳しい由来はわからないものの「首之塚」というものもあります。詳しくは、こちらのブログ記事をご参照ください。https://ameblo.jp/chiba-rekishi/entry-12660149010.html
ところで、冒頭の画像ですが、これは、南八幡にかつて存在した、建設中のビルです。建設されていた途中で、工事が中断してしまい、そのまま長年に渡り打ち捨てられ、廃墟のようになっていたのです。今は取り壊され、別の建物があるのですが、実は、この場所、総武線の線路に対して、北にある藪知らずと、ほぼ対称なのです。「北のハタボウル、南のスターレーン」に倣って、「北の藪知らず、南の廃墟ビル」とも呼ばれていたとか。
というわけで、今日は足利市のユニークな取り組みを紹介しました。兵庫県福崎町でも、妖怪まちづくりに力を入れているそうです(こちらをご参照ください)。市川市でも、こういうイヴェントを行ったり、マップを作って楽しめそうですね。誰かやってみたいという人はいませんか?