公開日 2023年2月26日
市川市にはスポーツ振興基本計画というものがあるのですが、今年度(2022年度)、計画期間が終了します。そのため、市は、計画の見直しをしているのですが、新たにつくる第2期計画の、基本理念、目標、施策などをまとめた基本計画書案を公開し、この内容に対する意見を募集しています。
第2期市川市スポーツ推進計画(案)に関するパブリックコメントの実施について
https://www.city.ichikawa.lg.jp/pub06/0000420383.html
意見の募集期間は、2023年2月18日から3月19日までの30日間です。
ちなみに、市川市ではしばしばパブリックコメントを実施しているのですが、悲しいことに、あまり意見が寄せられません。意見がわずか5件しか集まらなかった、という案件もありますが、ヌ・アント!0件というものもあるのです。詳しくは、少し前に公開したパブリックコメント(略してパブコメ)に関するコラムをお読みください。また、そもそも、パブリックコメントって何?という人もいると思いますが、そのような方も、こちらの記事を読んでみてください。
公開されている資料「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/pub06/file/0000421360.pdf
を読んでみると(と言っても、ざっと読んでみただけですが)、色々気になるところがあります。
今日は、私が気になった箇所を取り上げ、アーダ・コーダ、綴ってみたいと思いますが、本稿を読んでいただいている皆さんには、是非とも、こちらの記事もあわせてお読みいただきたいですね。
このコラムから一部を引用します。
- ヨーロッパでは、地域の誰もがスポーツに親しんでいる。
- ヨーロッパのサッカーリーグは5部や6部などまであり、参加すれば誰でもクラブの施設を使える。
- サッカーのクラブは「地域のハブ(HUB)」となり、地域に住む多世代が融合する場である。
- ヨーロッパでは中高年の大人たちも地域のクラブで過ごし、プレイしなくてもビールを飲んで試合を観戦するなど楽しんでいる。
- スポーツは本来「あそび」であり、楽しいものだが、日本では学校で行われる「教育」であり(礼儀、忍耐、努力、修行、先輩・後輩etc.)、「あそび」ではない。
- 日本では、子どもの頃に楽しくて始めたスポーツを、多くの人は、学校のキツい部活で嫌になり、大人になる前に卒業してしまう。
- これから、地域のスポーツは学校の教育・部活から離れ、「統合型地域スポーツクラブ」が担うことになり、「あそび」の要素が強くなる。
これらは、サッカー・コンサルタントで、FC市川GUNNERS代表や市川SC(千葉県社会人1部リーグ)GM、プレミアリーグU-11実行委員長を務める、幸野健一さんが、昨年、「いちカイギ」でお話された内容です。
ちなみに、「統合型地域スポーツクラブ」とありますが、これは私による誤りで、正確には「総合型地域スポーツクラブ」です。幸野さんも注目する、この、「総合型地域スポーツクラブ」をご存知ですか?この言葉は、「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」にも15回登場します。
さて、それでは、「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」の中で気になるところを見ていきます。
市内のスポーツ団体等の認知度は、知っている団体等は「特になし」の割合が78.1%と最も高く、「総合型地域スポーツクラブ※9」についての認知度は6.7%とスポーツ団体・クラブの認知度が低いことがうかがえます。今後、市民がスポーツ・レクリエーションを実施するきっかけとなる「総合型地域スポーツクラブ」の周知・啓発を行うとともに、更なるクラブの運営支援等を行っていくことが必要です。
また、スポーツ活動団体に「所属していないが今後所属したい」の割合が15.1%となっており、スポーツ活動団体が活動している内容等の情報を発信し、市民に活動団体を周知し、既存スポーツ団体・クラブの活性化を図っていくことが必要です。※9 【総合型地域スポーツクラブ】地域住民により自主的・主体的に運営され、身近な地域でスポーツに親しむことのできる機会(教室等)を提供するスポーツクラブです。本市では「市川スポーツガーデン国府台」「市川スポーツガーデン塩浜」「北市川スポーツクラブ」の3団体が活動しています。
出所:市川市「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」30ページ、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/pub06/file/0000421360.pdf、2023年2月25日閲覧、太字は筆者による
「総合型地域スポーツクラブ」の認知度は低いですね。これからメディアで取り上げられることが増えれば、認知度が高くなるはずです。メディアの1つともいえる、フリースタイル市川の当Webサイトや、Twitter、あるいは、ポッドキャスト番組「!ka !ch!kawa(イカ市川)」では、積極的に取り上げたいと思います。
スポーツは、からだ・健康づくりに加え、体を動かすという人間の欲求を満たすことで、心身の健康・豊かさの増進に寄与します。さらには、スポーツを通したコミュニティの創成、スポーツ団体やスポーツイベントを通した人材育成、交流など、人やまちづくりにも寄与するものです。このことから、スポーツには生涯をとおして自身の望む活動ができる「健康なからだづくり」や、夢や目的を持ち、生き甲斐や感動を感じることで、生き生きと暮らす「明るい人間をつくる」力があり、市川市総合計画第三次基本計画に掲げる、基本目標「真の豊かさを感じるまち」の達成に向けた重要な役割を担っております。
また、この「健康なからだづくり」や「明るい人間づくり」との目的は、本市出身の偉人「坪井玄道※13」氏も掲げていた目的でもあります。
このため、市民が生涯にわたってスポーツに親しむことのできる環境づくりを進めることは、極めて重要な意義を有しています。
このことから、スポーツによる「健康なからだづくり」と「明るい人間をつくる」をキーワードにして「健康なからだと明るい人間をつくるスポーツのまち いちかわ」を本計画の基本理念とします。基本理念
健康なからだと明るい人間をつくるスポーツのまち
いちかわ※13 【坪井玄道(1852-1922)】市川市鬼越生まれ。得意な語学を生かして海外のスポーツの紹介・普及に努め、自らも体操教師として学校教育に尽くしました。また、ピンポンをイギリス留学の際、初めて日本に持ち帰ったとともに、1885 年刊行の「戸外遊戯法一名戸外運動法」(田中盛業との共著)で屋外運動の一つとしてサッカーを紹介。この第 17 項「フートボール」が日本語で書かれた最初のサッカー解説書となるなどの功績があります。
出所:市川市「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」33ページ、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/pub06/file/0000421360.pdf、2023年2月25日閲覧、赤太字は筆者による
市立市川歴史博物館にて、紹介・展示されています。(市立市川歴史博物館展示・(公財)日本サッカー協会ホームページ等参照)
引用した箇所は全部気になります。まず、
- スポーツは、からだ・健康づくりに寄与する
- スポーツは、体を動かすという人間の欲求を満たすことで、心身の健康・豊かさの増進に寄与する
- スポーツは、コミュニティの創成、スポーツ団体やスポーツイベントを通した人材育成、交流など、人やまちづくりに寄与する
これらには異論はありません。問題は、これらを受けて展開していく部分です。
「このこと(=上で箇条書きにした3つのこと)から、スポーツには」とした上で、「生涯をとおして自身の望む活動ができる『健康なからだづくり』」とつながっています。ここもOKでしょう。
この次にご注目ください。
「スポーツには、(略)夢や目的を持ち、生き甲斐や感動を感じることで、生き生きと暮らす『明るい人間をつくる』力があり」
この、赤太字で表記した箇所ですが、上の3つの箇条書きの内容を受けて、「このことから」として言えることでしょうか?
こうなるわけですね。
「このことから、」の後に続く、2つのうち、前者については納得できますが、後者については、何度読んでも、なぜ、この文脈で、このようなことが言えるのかわかりません。「感動を感じる」という言い回しに違和感を覚えるということもありますが(感動を覚える、という表現の方が良い気もしますが)、それは大した問題ではありません。
わざわざ括弧で括っている、「明るい人間をつくる」の部分に、私は大きな違和感を覚えたのです。
「市川市第2期スポーツ推進計画(案)」の「基本理念」は、「健康なからだと明るい人間をつくるスポーツのまち いちかわ」となっていますが、この資料を読んでいても、なぜ、「明るい人間をつくる」が基本理念に含まれるのか、わかりません。
基本理念というのは、この計画の根底にある、根本的な考え方です。
もしかすると、私が知らないだけで、「スポーツ」の研究では、「スポーツが明るい人間をつくる」という知見が得られているのかもしれません。もし、そうであれば、その研究知見を示した上で、基本理念(案)を示してくれれば良いのに、と思います。
今、この市川市に、というか・・・
かつて、この地球上に、「市川市第2期スポーツ推進計画(案)」の「基本理念」、「健康なからだと明るい人間をつくるスポーツのまち いちかわ」に、「明るい人間をつくる」が含まれている理由がわからない、理解できない、という悩みを有し、かつ、それを赤裸々に打ち明けた人間がいたでしょうか?
私は何も、「明るい人間をつくる」という語を、基本理念に含めちゃいけないなどと言っているわけではないのです。ただ、この計画(案)の資料を読んでも、基本理念に「明るい人間をつくる」を含める理由がわからない、ということを言っているだけです。
何といっても、計画の根本、根底にある考え方ですからね。
単に私の読解力がないだけかもしれないので、もし、基本理念に「明るい人間をつくる」が含まれる理由がわかっているという人がいたら、是非教えてほしいと思います。
誰からもそのような連絡がない場合、恥ずかしげもなく、パブコメを提出する可能性があります。
以下は、私が10分ほどで書き上げたパブコメ(案)です。粗いですが、このような内容のコメントを提出する可能性はゼロではありません。
「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」の33ページ、「第3章 計画の基本的な考え方」の「1 基本理念」の内容に注目して読みました。
「基本理念」は、この計画の根底にある、根本的な考え方なので、極めて重要なものだと考えます。33ページに、このような記述があります。
(引用ここから)
スポーツは、からだ・健康づくりに加え、体を動かすという人間の欲求を満たすことで、心身の健康・豊かさの増進に寄与します。さらには、スポーツを通したコミュニティの創成、スポーツ団体やスポーツイベントを通した人材育成、交流など、人やまちづくりにも寄与するものです。このことから、スポーツには生涯をとおして自身の望む活動ができる「健康なからだづくり」や、夢や目的を持ち、生き甲斐や感動を感じることで、生き生きと暮らす「明るい人間をつくる」力があり、市川市総合計画第三次基本計画に掲げる、基本目標「真の豊かさを感じるまち」の達成に向けた重要な役割を担っております。
(引用ここまで)この中に、スポーツには、夢や目的を持ち、生き甲斐や感動を感じることで、生き生きと暮らす「明るい人間をつくる」力がある、という記述があり、括弧で括られた「明るい人間をつくる」は、この計画の基本理念、「健康なからだと明るい人間をつくるスポーツのまち いちかわ」に含まれています。ただし、引用した箇所、および、その上の部分を読んでも、「スポーツに明るい人間をつくる力がある」、ということを裏付ける内容や、何らかの研究知見が示されていることは確認できませんでした。
穿った見方かもしれませんが、基本理念が先にあり、「明るい人間をつくる」という文言を基本理念に含めるための文章を書いたのではないか、と思えてなりません。
以上を踏まえ、この基本理念に「明るい人間をつくる」が含まれる理由を文章内に含めていただくか、基本理念の文言の再考をお願いしたいと思います。
出所:筆者作成
こんなコメント出しているんじゃねぇよ!と、あの有名なお菓子「タラタラしてんじゃねぇよ!」のように私に言う人もきっといることでしょう。また、こんなコメントが市民から届いたら、ご担当の職員の方は嫌な気分になるかもしれません。そのことを思うと、出すべきではないのかもしれない、という気持ちが前面に出てきます。
長々と細かいことを書き連ねましたが、そんなことは気にせず、一度、
「第2期市川市スポーツ推進計画(案)」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/pub06/file/0000421360.pdf
を読んでみてはいかがでしょうか。
それでは、ごきげんよう!かつて、空手を習い、水泳を習い、サッカーと陸上競技の部活動に所属していたノスタルジー鈴木がお送りしました。