数年前に購入した直後にページをパラパラとめくり、放置していた1冊の本を、今年に入ってようやく「ちゃんと」読みました。戦略デザイナーの佐宗邦威さんの著作『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN』です。
著者である佐宗邦威さんが代表を務める会社「BIOTOPE」では、〈個人・組織が持つ「妄想」を掘り起こし、それを「ビジョン」に落とし込み、その「具現化」まで〉を支援しているといい、この本の帯にも「『妄想』を手なずけ、圧倒的インパクトを生む」と書かれています。
妄想!
この本には、ドキッとするような記述が多く、読みながら、付箋を貼ったり線を引いたり、欄外にたくさんメモを書き込んだりしました。例えば、「はじめに」には、こんなことが書かれています。
ふつうに生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。
(中略)
逆に、日常のなかで、「自分モード」と呼べる時間は、かなり少ないのではないかと思う。
出所:佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN』ダイヤモンド社、2019年
「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、僕たちは「何がしたいのか」を思い出せなくなる。「君はどう思う?」と意見を求められても、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。
企業でも、消費者、競合他社、株主など、他者のことばかり考えるあまり、自社がそもそも何をしたいのかを忘れたかのような活動に勤しんでいるケースは少なくないでしょうし、個人の場合でも、世の中で流行っているからやる、評判が良い作品だからチェックしておく、インフルエンサーが絶賛していたから買ってみる、というように、基準が自分ではなく他者にある、そんな行動ばかりしている人は多い気がします。情報感度が高いと自負してる人に限って、そうなっているかもしれません。私自身も、純粋に「自分モード」で考え、動くということは決して多くありません(でした)。
幸いにも、フリースタイル市川のメンバーとして活動をしているうちに、恥じることなく妄想を語れるようになってきた気はしています。メンバー同士、「こんなことができたらいいね!」「それ、いいね!さらにこうしたらもっとナイスかも!」「Da.Yo.Ne!!」と、実現可能性が低かろうと、面白そうなことを思いついたら、論理的な整合性などお構いなしで、そのアイディア、妄想を、毎日のように投げ合っています。面白くなくたってOK!くだらないアイディア大歓迎。それが、現在のフリースタイル市川です。
というわけで、実現するかどうかわからないアイディア(実現可能性が低いと思われるような発想)、すなわち、妄想を、堂々と語りたい人にはお勧めの一冊です。そういう妄想を語る人に対し、眉をひそめるような人にはお勧めはできません。
この本には、次のような記述もあります。
もう1つの危機が、世の中の見通しがつきづらくなったということだ。これまでは過去の成功・失敗に基づいて未来を予測し、意思決定をしていくことが求められていた。しかし、いまや確実にわかっているのは、「確実にわかる未来などほとんど存在しない」ということぐらいだ。世界の経済人が集まるダボス会議(世界経済フォーラム)では、このような世界を指して「VUCAワールド」という言葉が聞かれるようになった。これは、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguty(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語である。
出所:佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法―VISION DRIVEN』ダイヤモンド社、2019年(太字は筆者)
ここで登場している造語、「VUCA」をご存知でしょうか。ヴーカ、または、ヴカと発音するようです。変動が大きく、不確実性が高く、より複雑で、曖昧さが増している、今の時代は、そんな時代で、この世界は、そんな世界である、というようなことを言う場合に、VUCA時代、VUCAワールドといった表現をするものと思われます。
近年の日本や世界で起きた事象の中で、発生することを予測することができなかったものが少なくなく、しかもそれが発生した時にもたらされる影響が甚大だった、というものは、いくつもあります。
東日本大震災とそれに伴って生じた福島第一原子力発電所事故、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大による世界的なパンデミック、ロシアによるウクライナへの侵略による死者・難民の発生や世界的な物価上昇など、事前に、その時に発生するということを予測することは困難な出来事ばかりですが、これらには私たちの生活を変えてしまう程の大きな影響力がありました。
発生するかどうかわからないような不確実性の高い現象が、「もし発生したら、どのような影響があるか」を、事前に考えておいて、発生した場合の影響が大きいと考えられる場合には、あらかじめ対策を検討しておくことが、企業、行政組織、あるいはNPO法人などの団体には、求められるようになってきました。
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じゃぁ、どうすれば良いの?
と思った方には朗報です。
フリースタイル市川の理事、アニキこと小泉篤史さん(下の画像で腕を組んでいる男性)が、お隣、松戸市で、「不確実な未来を考えるシナリオプランニング体験講座」というものをおこなうのです。主催は、松戸スタートアップオフィスさんです。
VUCA時代といわれる現在、新たな発想や複眼的な視点を起点に戦略を立案し、実行するにはどうすればいいか。
出所:松戸スタートアップオフィス公式Webサイト、https://matsudo-startup.jp/info/20221025_004408/、2022年11月10日閲覧
これらを体系的に考え、対話や行動を促す手法の1つがシナリオプランニングです。
今回、このシナリオプランニングを実際に体験し、ご自身の事業や活動の今後の展開に役立てていただけたらと思います。
「不確実な未来を考える シナリオプランニング体験講座」開催概要
日 時:2022年11月25日(金)14:00-16:00(質疑応答を含む)
場 所:松戸市民会館
定 員:20名(要申込・先着順)
参加費:無料
講 師:小泉篤史さん(中小企業診断士、薬剤師、シナリオプランナー)
※情報出所:松戸スタートアップオフィス公式Webサイト
https://matsudo-startup.jp/info/20221025_004408/
申し込みやお問い合わせは、松戸スタートアップオフィス公式Webサイトでご確認ください。
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最後に、「VUCA時代」を歌ったソングを紹介します。
何が起こっても変じゃない
そんな時代さ
覚悟はできてる
出所:Mr.Children「【es】~Theme of es~」、作詞:桜井和寿